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| [田坂講師]2005年 8月 27日 |
| '05論文式本試験講評<原価計算> |
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2005年度論文本試験は、2004年度に比べて計算の難易度はやや低下したが、理論(記述)問題の解答量が増加した。ただしパターン暗記で通用する記述問題はほとんどなく、現場対応能力を問う出題が目立った(特に第六問・問題2)。したがって、2005年度は、昨年度と同様、難易度の高い出題と思われ、高得点が取りにくい出題内容であった。2時間という制約を考えると、すべての設問に完全解答を行うのは困難であり、「拾うべき問題と捨てるべき問題」をうまく見極めて解くことが肝要である。

このような観点でみると、唯一比較的得点しやすい第五問(問題1)で確実にがんばり、第五問(問題2)は計算ミスを犯した場合、せめて理論だけでも得点しておきたい。第六問(問題1)は、計算単位(万円単位か円単位か)にも気を配らなければならず、計算および理論ともに難易度が高い。第六問(問題2)財務分析からの出題で、従来は会計士3次試験で出題されていたレベルの問題である。完全解答は困難であろうが、書きにくい理論に食らいつく執念が得点差につながったのではないだろうか。

得点計画としては、第五問については、問題1が40点、問題2が20点〜35点、合計で60〜75点。第六問については、問題1が25〜30点、問題2は20〜30点、合計で45〜60点。原価計算全体で100点以上なら合格圏内と思われる。

繰り返しになるが、拾えるところははっきりしている。それができれば十分合格点である。やはり大切なのは、十分な基礎力と問題対応力の養成である。 |
| 第五問 |
| 問題1 |
工程別総合原価計算からの出題である。(アクセル予想Aランク)

問1〜問2の計算問題は、全体の難易度を考えると完全解答が必要である。理論問題(非累加法の特徴、等級別原価計算の特徴と計算方法および計算に必要な情報)は、計算背景を思い出せばパターン暗記で書けるレベルである。したがって、本問はとにかく取りこぼしを最小限にとどめなければならない。 |
| 問題2 |
標準原価計算からの出題であるが、内容的にはほとんど製造間接費会計の問題である。 (アクセル予想Aランク)

問1〜問2の計算レベルは標準的である。問2の差異の記述は確実に取ること。しかし、問3〜4の理論は、典型論点ではなく、試験場でアレンジして書かなければいけない。思いついた点をできるだけ多く列挙する作戦で書くしかないであろう。 |
| 第六問 |
| 問題1 |
事業部の業績測定と戦略的意思決定の結合問題である。(アクセル予想Aランク)

計算レベルはおおむね標準的であるが、単位の修正が難しく、迷う点も多いであろう。理論もパターン暗記では書けない。計算でどこまで得点できたかが鍵である |
| 問題2 |
財務分析からの出題である。(アクセル予想Bランク)

2006年からの試験範囲を先取りしたような内容であり、難易度は高い。問1〜2の計算レベルは標準的であるが、迷うところ(売上高差異の計算など)も多く、かつ理論(問2〜4)も計算結果と併せて記述するという、高い現場対応能力が求められている。制限時間を考えると、完全解答は不可能に近い。ただし、問3の理論だけはテキストレベルでも対応できる(共通費の配賦の問題点と改善提案)。計算が間違っていても、首尾一貫した論理性をできるだけ心がけて記述すれば、部分点がもらえる可能性は高いと思われる。 |
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| [井上講師]2005年 8月 27日 |
| '05論文式本試験講評<経営学> |
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今年の本試験では穴埋めによる用語補充の問題が大方の予想通り頻出したため普段から強調しているキーワードを中心にした出題が極めて重要だということが実証される結果となった。ここまで用語補充が多く出題されることはかつてなかったが、今後、受験生の増加に伴い採点負荷を軽減するという観点から、さらに経営学的出題という特性からも同様の形式が続くことも考えられる。

また、戦略と組織から100点、ファイナンスから100点という形も予想通りでありファイナンスのウェイトを軽視し、行動ファイナンスばかりを勉強された受験生にとっては厳しい出題であったかもしれない。このことからも基本事項を大切にした幅広い学習が望まれる。 |
| 第11問 |
浅羽先生の出題であると予想される(ただし、普段から強調しているように試験委員が誰かということよりも経営学的な発想で答案を書くことが大切である)。用語補充の問題は多くの受験生が正解にたどりついたであろう。ただし、問1(2)のように論旨に沿って解答することは、これも平素から強調しているように穴埋め問題の難しさといえるであろう。

その他は、make or buy、RBV、EMSなどが出題されており、今まで学習してきた基本事項に沿って知識を総動員し解答をすれば合格点に達することが可能であろう。特にAXL受講生は重要であると再度強調してきた部分からの出題であり高得点が期待されるところである。 |
| 第12問 |
加藤先生の出題であると予想される。問題1にかんしては答練でもウェイトを高くし何度も出題してきた裁定取引と市場の効率性に関する出題であり、AXL受講生は差別化した答案作成が可能であったと期待したい。

また、問題2の用語補充であるが、これは最低半分は解答するべきであろう。論文予想講座でもお話したところであるが、昨年度のように行動ファイナンス一辺倒の出題であるとその反省から今年のように他分野からの出題が増えてくるのが常である。その意味で、AXL受講生は行動ファイナンス以外のファイナンスも綿密に学習したので問題2についてもかなりの正答率が期待されるところである。 |
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| [近藤講師]2005年 8月 26日 |
| '05論文式本試験講評<民法> |
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| 正直,相当に難しい問題であったといえる。現時点でも,各校の見解は分かれているようである。テキストには,問われたこと(と思われる)の大部分は言及しているが,そもそも論点を見つけるのも容易ではないという印象を受けた。経済学との得点調整は,当然あるだろうし,過去に難問が出題された場合も,合格されるべき人は合格しているので,決して悲観的にはならず,前向きに!! |
| 第15問 |
| 問1. |
(1) |
利益相反行為(826条)の問題であるが,外形標準説から,これを肯定し,無権代理という構成が考えられる。Bは,Xの「代行者」であり,復代理人と解すれば(復代理人は,代理人と同様の権利義務を負う),結局は,AとXそれ自体の利益相反ではないが,復代理人BとXの利益が相反するため。

これに対して,単なる使者と解すれば,利益相反にはあたらず,代理権の濫用の問題になると思われる。この点,親権者に子を代理する権限を授与した法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情がない限り,代理権の濫用には当たらないとするのが判例である。 |
| (2) |
利益相反にはあたらず,特別の事情がない限り,代理権の濫用にならない。また,農業協同組合法10条は,「組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付け」以外の貸付を禁止していため,農協の定款所定の目的外の行為として,ZC間の消費貸借が無効となるが,不当利得返還請求権が発生していることから,例外的に,それを担保するものとして抵当権を有効ということになるのか(本当に,こんなこと聞いているのか,(1)との関係でも?であるが)。 |
| 問2. |
(1) |
動機の錯誤が問題となり,ただ,共通の錯誤として重過失に関係なく無効主張ができるということになろう。 |
| (2) |
Dには過失が認められ善意取得は不可。Eには肯定されるが,193条により,Aは,回復請求が可能ということになろう。ただし,Eには,194条により,代価弁償の請求が可能(これが抗弁権か,それとも弁償請求権を認めたものかは,判例と学説の争いあり)。

また,回復請求が認められる場合の目的物の所有権が原権利者と善意取得者のいずれかに帰属するかについて議論があり,判例は,現権利者であり,学説は善意取得者とする。前説では,ショベルカーの返還と使用料を請求できるが,後者では使用料の請求は不可ということになると思われる。 |
| 第16問 |
| 問1. |
通説の注文者帰属説では,注文者Yに帰属するため,請求不可。判例の請負人帰属説の立場でも,注文者Yに帰属するという判例があり,結論は同じ。 |
| 問2. |
転用物訴権の問題。 |
| 問3. |
注文者帰属説で,建前については注文者Yに価値があり,すでになされた部分は履行と認められ,残部の施行部分の一部解除となると解すると結論は変わらない。注文者帰属説でも全部解除と解するか,請負人帰属説だと,建前は,YM間ではM,MX間ではX所有のものであるが,判例は,加工の問題として,Zの建物所有権を認め,引渡しにより,Yに所有権が移転し,Xの償金請求を認めている。 |
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| [高橋教授]2005年 8月 26日 |
| '05論文式本試験講評<経済> |
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| 今年の本試験問題はここ数年の中で一番よい問題ではなかったろうか。実力差がはっきりと現れ,経済学を考えている人は高得点を取れるが,問題パターンの暗記に終始している人は惨敗を喫する大変によい出題であった。 |
| 第13問 |
| 問題1 |
この問題は西島先生の出題である。この問題は大変にすばらしい問題であり,受験生が大いに学ぶべき良問である。経済学的な思考を常に心がけている人は出来るが,パターン学習法の人は何を聞いているのかわからず,お手上げだったのではないだろうか。授業においても常に考えることを皆さんに要求していたが,それを忠実に守ってきた人はかなりの高得点が期待できる。合格の試金石となる問題である。

問1,問2はこれを落とす人はいないであろう。問3においてオークションという言葉でパニックになった人は勝負あったと思ったほうがよい。要は独占企業として将来にわたり獲得できる利潤の割引現在価値を考えればよいのである。問4は独占企業に従量税を課す問題であるが,税収最大化の考え方がポイントとなる。問5は独占企業の利潤最大化条件において弾力性の見方を問う問題である。問6は価格の差別化の問題である。問7は個別企業の供給曲線を集計化して市場全体の供給曲線を導出する典型問題である。問8は授業でも取り扱った西島論点のライセンス料の簡単問題である。問9は授業中に扱っていなかった部分独占の問題である。昔は専門学校で扱う論点であったが,最近はやらないのが普通であろう。問10は複占の問題であるが,両企業が相互に輸出するような市場であり,若干難しい問題である。問9を除き,出来てほしい問題である。 |
| 問題2 |
この問題は御船先生の問題であると推測できる。その理由はマクロの問題が山田先生的な出題であったので本問は御船先生となる。問題としては外部性のよくある問題であるが,昨年度,外部性の市場の失敗の問題が出題されていたのでこのテーマははずしていたのは痛かった。ただ,答練において消費の外部性に関する類題をやったのでそのあたりで何とかなるのではないか。問題としては問題1に比べ格段にやさしく,図を使えば,10分ぐらいで解ける問題である。 |
| 第14問 |
| 問題1 |
本問は鴨池先生の出題と各専門学校が予想していると思うが,過去2年間の鴨池先生の出題とは明らかに異なっており,今年はどうも鴨池先生は出題しなかったと考えるべきである。(過去においても3人で出題したケースがある。)実際ここ数年マクロは問題が3問であるが今年は2問となっている点でも一人,つまり山田先生だけが出題したと考えたほうがよい。問題そのものは資産効果を入れたケースと入れないケースのIS-LM分析を総合的に扱った問題であり,答練で何度も出題しているので完答が望ましい。ここを落とした人は合格はないと考えてもよい。 |
| 問題2 |
問題を見た瞬間に教える人間も呆然としたが,受験生の皆さんも唖然,呆然とした問題である。このような問題は山田先生がその昔,財政部門を入れた成長モデルを若いときに動かしていたので,得意であるので,山田先生の出題と予想する。プライマリーバランスの問題は財政では最近話題となっているのは事実であり,国家1種の経済職においても出題されている。しかし,今年いきなり出題するとは予想外であった。しかし,ここでも合格するための粘りが点数を積み重ねることが出来る。問1の(2)は均衡財政と考えれば,答えるが出てくる。ここが出来るだけでも,10点ぐらいが獲得できる可能性が大である。しかも問2,問3は予想した簡単論述である。経済学の常識をフル回転すれば当たらずとも遠からずの答えが得られる。ここでさらに10点ぐらい獲得できる。問4以降はモデルを常に考えていないとちょっと無理であるが,問4ぐらいは何とか拾えたらすばらしいがたぶん無理であろう。 |
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| 全体的には合格ラインは100点から120点ぐらいではないだろうか。 |
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| [戸原講師]2005年 8月 26日 |
| '05論文式本試験講評<簿記> |
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| 第一問について |
| 1. |
予想通り、特殊商品売買に個別論点を交えた損益計算書・貸借対照表の作成問題である。

各論点はいずれも初歩的レベルであるため、最近の公認会計士試験の簿記では珍しく高得点が可能な問題といえる。具体的には、当期純利益の算定が影響する(21)法人税、住民税及び事業税、(44)未払法人税等及び(49)当期未処分利益を除く47個の解答箇所は、いずれも正解可能性が高いので、最低90%すなわち85点前後は得点したい。したがって合格者の平均点は80点以上になると思われる。 |
| 2. |
注意点は次のとおりである。 |
| (1) |
未取立小切手は、銀行残高証明書を入手すると通常はその残高に含まれており、常識的には当座預金の不一致原因を構成しない。本問では、3,400千円が当座預金の不一致原因の(3)に示されているので、銀行残高証明書の残高に含まれていないを考えざるを得ないが、いずれにしても当社サイドで当座預金を修正しない点に変わりはない。 |
| (2) |
本問のリース取引は途中で契約解除が可能であるため、ファイナンス・リース取引が該当せず、オペレーティング・リースとして貸借借取引に準じて処理を行う。 |
| 第二問について |
| 1. |
予想どおり、オーソドックスな連結財務諸表の作成問題であり、含まれている論点もすべて一般的なものである。

ただし資本連結の論点が大量に出題されているため、連結修正消去仕訳をすべて行うと時間不足になる可能性が極めて高い。そこで仕訳をできるだけ介さず、解答が要求されている科目の金額を勘定記入等で直接求める方法を選択せざるを得ないであろう。このような方法を選択しても45箇所中30箇所前後は十分正解可能であり、その80%前後を実際に正解して50点以上は確保したい。

ただこのように直接求める方法を最初から選択できた受験生は、それほど多くないと思われる。一方、下記2に示す問題自体の誤りにより混乱した受験生も多いと思われるので、合格者の平均点は40点を少し超えたぐらいになると思われる。 |
| 2. |
B社の利益剰余金について、期首残高に次のように増減を加減しても貸借対照表の利益剰余金と照合しないのは、出題ミスと思われる。

| 期首残高(×6/3)187,000+当期純利益21,342−配当金1,800−役員賞与150 |
= |
206,392 |
┐ |
誤差1,727 |
| 貸借対照表の利益準備金87,750+任意積立金74,218+当期未処分利益42,697 |
= |
204,665 |
┘ |

そこで模範解答の作成にあたっては、最も正解可能性の低い(24)貸借対照表の利益剰余金でこの誤差(少数株主持分の誤差含む)を調整した(連結剰余金計算書の利益剰余金期末残高と(24)貸借対照表の利益剰余金が一致していないのは、このためである。)
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| [近藤講師]2005年 8月 25日 |
| '05論文式本試験講評<商法> |
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| 8月25日に実施された商法について、取り急ぎ、コメントを致します。 |
| 第9問 |
| 1. |
取締役からの出題可能性は高いと考えていたが,表見代表取締役(262条)に関する典型問題であった。新会社法では,共同代表制が廃止されるため,表見代表取締役が出題されても,共同代表制と表見代表取締役に関しては出題される可能性は低いと考えていたところである。

典型問題だけに,かなりレベルが高い答案が多いのではないかと予想される。 |
| 2. |
出題形式は,事例問題であった。事例問題では,事案分析から問題提起→規範定立→あてはめ・結論という手順を踏む必要があるが,民法選択者以外は,苦手として人が多いため,答案作成の形式面で点差が多少つくことになるのではないかと思われる。 |
| 3. |
答案の内容面では,まず,Cは,取締役にすぎず,代表権を有しないため,無権代表行為として無効なのが原則であることを指摘し,Cが常日頃,常務取締役の肩書で行動していたことから,262条により乙を保護できないかという大きな問題提起をし,以下,262条の要件を満たすかを検討することになろう。 |
| (1) |
まず,「会社を代表する権限を有するものと認められるべき名称」(外観の存在)については,「常務取締役」という名称が262条に列挙されていから,単純に,肯定してよいだろう(乙との契約も常務取締役という肩書で行われたと思われる)(この点,江頭教授は「株式会社・有限会社法」で若干疑義を提示しているが,この点までは触れる必要はないだろう)。 |
| (2) |
次に,会社が「名称を付した」(会社の帰責性)については,「Cは,常日頃,甲会社常務取締役の肩書きで行動していた」ということから,会社は,名称使用を黙認しており,帰責性が認められると認定してよいだろう。この点で,名称使用を取締役の一人が黙認していれば足りるのか議論があるが,論ずるとしても,簡潔にすべきものと思われる。 |
| (3) |
最後に,「第三者の善意」(外観に対する信頼)について,条文上,善意が要求されているにすぎないが,無過失ないしは無重過失が必要かを丁寧に論ずる(判例・通説は無重過失必要説)。問題文では,乙は,「登記簿を確認することなく」とされているため,重過失の有無の認定をしっかり行う必要がある(テキストP127参照)。

そして,この「第三者の善意」という要件との関係で,12条と262条の関係をしっかり論ずることになる。この論点にすぐに飛びつくのではないが,12条によると「第三者の善意」が常に否定されるのではないかが問題となっているのであるから,この要件との関係で議論するのがベストな答案構成といえよう。 |
| 第10問 |
| 1. |
新株発行からの出題であった。ライブドアとニッポン放送の件で注目を集めていたが,出題は,新株発行の差止と新株発行の無効を比較させるという問題であった。 |
| 2. |
形式面では,「比較問題」であった。1問は,異同ないし比較問題が出題されると予想していたところであるが,本問では,あまり答案構成について悩む必要はないと思われる。 |
| 3. |
問1について |
| (1) |
まず,新株発行の差止の目的であるが,ここでの「目的」は,ほぼ制度趣旨とイコールという意味であると考えられる。また,新株発行は,本来,会社の人的・物的基礎を拡大する組織法上の行為であるが,昭和25年改正法が,資金調達の便宜と機動性を図るため,授権資本制を導入し,取締役会の決議事項として業務執行に準ずる扱いをしたため,新株発行に関与できなくなった株主の保護として認められた旨を論ずることになろう(そのため,取締役の違法行為差止請求権と要件が異なるわけである)。主張方法は,通常の権利と同様,裁判外でも裁判上も可能。 |
| (2) |
これに対して,新株発行に手続的・内容的瑕疵があるときは,民法の一般原則によるときは,無効であるのが原則であるが(民法91条),しかし,そうすると新株発行が有効なことを前提として形成された法律関係が混乱し,取引の安全を害することになる。そこで,商法は,無効主張の可及的制限,法律関係の画一的確定,無効の遡及効阻止の要請に基づき,新株発行無効の訴えの制度を設けた旨を論ずる。そして,無効主張の可及的制限の要請から,新株発行無効の訴えは,形成の訴えとされ,訴え以外の方法では主張できない。ただし,新株発行の瑕疵が著しく新株発行の実体がない場合,法律関係の安定や取引の安全を考慮する必要はないため,かかる場合は,誰でも,何時でも,どのような方法によっても,新株発行の不存在を主張することができ,必要があれば,新株発行不存在確認の訴えを提起することができる。 |
| 4. |
問2について |
| (1) |
新株発行の差止請求は,新株発行の効力発生前に,これを事前に差止める制度であり,取引安全に対する配慮をする必要はない。そのため,差止原因は,新株発行の無効原因と異なり,広く解され,「法令・定款違反」には,すべての法令・定款違反が含まれる。「著しく不公正な方法」とは,不当な目的を達成する手段として新株を発行することをいう。

「株主が不利益を受けるおそれがある」については,発行価額が不公正の場合の株価下落による経済的損失という不利益だけでなく,発行済株式総数の増大による持株比率の低下という不利益も含まれることを指摘できるとよいであろう(加点事由か?)。 |
| (2) |
新株発行の無効原因については明文規定がない。新株発行が会社の人的・物的基礎の拡大をもたらす組織法上の行為であるからすれば,法令・定款違反の新株発行を無効にして株主の利益を図る必要がある。他方で,新株発行は,経済的には,資金調達を目的とするため,機動的な簡易迅速な処理が要請され,現行法は,授権資本制度を採用して業務執行に準じて扱っているため,取引の安全を図る必要がある。したがって,法令・定款違反の新株発行が無効原因となるか否かは,会社の利益保護と取引安全の要請との比較衡量により決定する必要がある。

しかし,株式については,自由譲渡が原則とされ(204条1項本文),取引の安全が強く要請される。また,株主には,新株発行差止請求権(280条の10),取締役,不公正価額での引受人の責任追及(266条1項5号,280条の11)の救済制度があるため,無効原因は,無効主張の可及的制限の要請から,できるだけ狭く解されるべきであるということになろう。

具体例として,株主総会の特別決議を欠く有利発行や取締役会の決議を欠く新株発行は,無効原因とはならない旨を指摘するとよいであろう。 |
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| [野坂講師]2005年 8月 24日 |
| '05論文式本試験講評<監査論> |
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| お疲れ様です。参考ながら、本日、実施された論文式本試験の監査論について、私のコメントを述べます。 |
| 第7問 |
| 問題番号 |
問題文の要旨 |
コメント |
的中度 |
アクセル生の有利性 |
問題1 問1 |
内部統制の保証の程度が絶対的でなく合理的である理由 |
絶対的でない理由は簡単だが、合理的である理由は現場対応型の応用問題。後者で差がつくであろう。前者は問題集にもある |
○ or △ |
引き分け(他校生と差が生ずる問題ではない)。 |
| 問2 |
会計上の見積りに関する統制リスクを低くするために経営者が実施すべき手続 |
細かな論点だが、昨年の後発事象に関する8つの実証手続よりは解き易い。問題集にはないが、テキストにはある |
△ |
引き分け(他校生と差が生ずる問題ではない)。 |
| 問3 |
内部統制における内部監査の役割 |
問題集にもあるが、本試験の解答用紙は8行あるので、テキストにあることまで書ければ高得点が得られるであろう。少し現場対応型の問題 |
○ |
少し有利or引き分け(他校生も書けるが、テキストにあることまで書ければアクセル生は少し有利) |
問題2 問1 |
監査上の重要性は監査リスクにいかなる影響を与えるか |
問題集にもあるが、本試験の解答用紙は8行あるので、テキストにあること(情報の信頼性の精度とその精度が達成されない可能性)まで書ければかなり高得点が得られるであろう |
○ |
有利or引き分け(他校生も書けるが、テキストにあることまで書ければアクセル生はかなり有利) |
| 問2 |
監査上の重要性を過度に大きくした場合の問題点(監査上と利用者のそれぞれの立場) |
現場対応型の応用問題だが、問1との連続性に着目し、かつ合理的保証と監査上の重要性の関係に気がつけば、換言すればテキストにあることが書ければかなり高得点が得られるであろう。12行もあるのでかなり点差がつくと思われる |
△ |
有利or引き分け(他校生もある程度書けると思われるが、テキストにあることまで書ければアクセル生はかなり有利) |
| 第8問 |
| 問題番号 |
問題文の要旨 |
コメント |
的中度 |
アクセル生の有利性 |
| 問1 |
意見に関する除外がある場合における限定付適正意見の監査報告書の文例 |
限定付適正意見における監査報告書の記載事項のポイントは問題集にあるので、基本的なことは書けたと思われる。ただし、具体的な文例はテキストにあるので、それをある程度書ければその分貯金ができる。点差が生ずる問題だろう |
○ |
引き分けor少し有利(他校生もポイントは書けるだろうからそれを書いただけなら引き分けだが、具体的な文例をテキストにしたがって書けたならばアクセル生は有利) |
| 問2 |
本問の事例が意見に関する除外がある場合における限定付適正意見となる論拠 |
虚偽表示の金額が重要だが著しく重要でない場合には限定付適正意見となる典型的論点だが、解答用紙が11行もあるため、答案構成をしっかり行い、いかに体系的に書けるかにより得点に大きな差が生ずるであろう。簡単そうだが、点差が生ずる問題である |
○ |
引き分け(他校生と差が生ずる問題ではない)。 |
| 問3 |
意見不表明(意見拒否)の場合、監査報告書の文例は問1における監査報告書の文例と具体的にどこが異なるのか |
問1と同様に意見不表明における監査報告書の記載事項のポイントは問題集にあるので、基本的なことは書けたと思われる。ただし、具体的な文例はテキストにあるので、それをどこまで書けるかにより得点に大きな差が生ずるであろう。点差が生ずる問題である |
○ |
引き分けor少し有利(他校生もポイントは書けるだろうからそれを書いただけなら引き分けだが、具体的な文例をテキストにしたがって書けたならばアクセル生は有利) |
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| ●難易度 … 論点自体は難しくないが、全体的に差が生ずる問題が多かったと思われる。特に、第7問の問題1の問1、問題2の問1と問2は、実力の差が得点に反映する問題であったと思われる。第8問も点差が生ずる問題だが、監査報告書の具体的文例は、無限定適正意見なら覚えているだろうが、限定付適正意見や意見不表明(意見拒否)の場合についても「監査報告書作成に関する実務指針」にしたがって正確に覚えている受験生は一部と思われるので、第8問は結果的に一部の受験生を除けばさほど点差が生じていないと思われる。 |
| ●メンタル … 現時点において、貯金ができている、ボーダーラインにいる、借金しているなど、いろんな思いで最終日を迎える方が多いと思いますが、メンタル・トレーニングでは、初日はリラクゼーション、最終日はエモーション(最後の一分・一秒まで自分の力をあますことなく全て出し切ること)が重要です。採点するのは、皆様ではなく試験委員です。貯金ができていると思ってもそれほどではないかもしれませんし、逆に借金していると思っても実はボーダーラインにいるのかもしれません。大事なことは、リザルド(結果)ではなく、プロセス(過程)です。確かな根拠もなく、「出来た、出来なかった」と一喜一憂するのではなく、周りの景色が見えず、音も聞こえないくらい集中して、今やるべきことにのみ全力を費やしてください。 |
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| [野坂講師]2005年 8月 23日 |
| '05論文式本試験講評<財務諸表論> |
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| お疲れ様です。参考ながら、本日、実施された論文式本試験の財務諸表論について、私のコメントを述べます。 |
| 第3問 |
| 問題番号 |
問題文の要旨 |
コメント |
的中度 |
アクセル生の有利性 |
| 問1(1) |
減損損失、臨時償却、臨時損失の相違 |
2年前に類似問題が出題されているので少し意外だが、難しくない問題 |
△ |
引き分け(他校生と差が生ずる問題ではない) |
| (2) |
減損損失の戻入 |
答練には出題していないが、直前講義では扱っている。さほど難しくはないと思われる |
△ or × |
引き分けor負け(直前講義の資料を見ているなら差は生じない。行数も少ないので、点差はほとんど生じないであろう) |
| (3) |
事業用固定資産の原価評価と減損処理の論拠 |
答練・問題集で徹底的に扱っている |
◎ |
勝ち(他校生も書けるが、アクセル生は国際基準と絡めて書ける) |
| 問2(1) |
リース取引を通常の売買取引とする論拠 |
2年前に類似問題が出題されているので少し意外だが、難しくない問題。問題集でも2問類似問題あり |
○ or △ |
少し有利(他校生も書けるが、アクセル生は国際基準と絡めて書ける) |
| (2)〜(4) |
リースの計算問題 |
計算問題は意外だが、簿記と財表の知識があればそれほど難しくない。論述部分は完璧には書けないだろうが、ある程度は書ける |
△ |
引き分けor少し有利(他校生と差が生ずる問題ではない。ただ、アクセルではリースをAランクとしていたので、少しだけ有利か?) |
| 第4問 |
| 問題番号 |
問題文の要旨 |
コメント |
的中度 |
アクセル生の有利性 |
| 問1 |
連結原則における個別F/S基準性の原則 |
論文で出るとは思えない細かな論点だが、短答式の知識の延長である程度書けるであろう |
× |
引き分け(他校生と差が生ずる問題ではない。誰も完璧には書けないが、皆そこそこは書ける) |
| 問2 |
新株予約権の1)負債説2)負債と資本の中間説3)資本説の論拠 |
1)負債説と3)資本説は答練・問題集で完璧に扱っている。2)負債と資本の中間説は直接には扱っていないが、1)と2)の延長である程度書けるであろう |
◎ |
勝ちor少し有利(2)負債と資本の中間説は他校の公開模試で出題されているが、1)負債説と3)資本説はアクセルの公開模試で出題している。ただ、アクセル生は国際基準と絡めて書けるので有利) |
| 問3 |
長期請負工事の販管費処理の論拠 |
古典的な論点なので意外だが、財貨動態論のポジションをイメージすればほぼ完璧に書ける。10行もあるので、答案構成が特に重要 |
△ |
勝ち(他校生もある程度書けるが、アクセル生はこの手の財貨動態論のポジションは徹底的に扱っているので、かなり有利) |
| 問4 |
国庫補助金の資本説の賛否 |
古典的な論点とみることもできるが、日本基準と国際基準の対比問題と見ることも可能。会計主体論に照らして完璧に書けるであろう。 |
◎ |
勝ち(Aランクであり、問題集にも全く同じ問題あり) |
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| ●難易度 … 本試験らしく、少し意外な問題も出題されたが、全体としては難しくない問題であろう。全体的に「攻め」の解答が可能な問題であり、「守り」の解答は一部しかない。比較的高得点が可能な問題と思われる。 |
| ●討議資料の概念フレームワークと退職給付会計について … 他校では、「討議資料の概念フレームワーク」と「退職給付会計」に重点を置いていたが、アクセルでは敢えてこれらをヤマからはずした。結果的に、これらの論点は全く出題されなかったので、アクセル生にとっては、余計な勉強をしなくてすんで良かったと思われる。 |
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| [近藤講師]2005年 8月 15日 |
| 新会社法のポイント |
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平成17年7月27日に、公認会計士・監査審査会から2006年度の試験は、新会社法で実施する旨の公式なアナウンスがありました。 新会社法の改正箇所の主要ポイントは、リンク先を参照してください。 |
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| >> 詳しくはこちら |
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| [野坂講師]2005年 8月 15日 |
| 監査基準・委員会報告書の改訂について |
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監査基準、中間監査基準及び監査に関する品質管理基準が、平成17年7月に公開草案が提出され、同年11月までに公表が予定されています。また、リスク関連の現行監査基準委員会報告書第5・6・10・20・21・23号に対して、改訂監査基準委員会報告書第5・27・28・29・30・31号が既に公表されました。更に、これら以外に、「中間監査」や「不正・誤謬」などに関する監査基準委員会報告書も改訂されます。 ただし、注意して頂きたいことは、これらの改訂基準・実務指針は早期適用であるため、来年の本試験は、現行と改訂の両方とも試験範囲になっていることです。したがって、06年の監査論は、現行基準・実務指針だけの論点が約半分、現行基準・実務指針と改訂基準・実務指針の両方の論点が残りの半分を占めることになります。しかし、今回の改正は、天動説から地動説に変わるのではなく、同じ地動説において、若干、恒星や惑星の位置・種類に違いがあったというものでしかありません。大事なことは、この視点を間違えないことです。アクセルでは、今回の改訂を、旧基準から新基準への変化と捉えず、同じアプローチにおいて、考え方がより合理的かつ厳密になったという観点から講義を行います。このような視点に立つ限り、受験生の負担もさほど増えることはありません。 |
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